腐り姫~euthanasia~ 感想

 人生で二本目のエロゲーをクリアしたので感想を書きます。ちなみに一本目は沙耶の唄でした。二次裏の回し者かな?

 

※ネタバレあり感想です

キャラクター所感

簸川五樹

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本作の主人公

 プレイ時は優柔不断なやつだなーって感じに思ってました。あと随分とおモテになってお盛んボーイだったりとか。彼を取り巻く人間関係ってなんというか凄い爛れてるんですよね、当の本人に元々どの程度その気があったのかは分からないけど、それで最終的に致しちゃうっていう。周りの人が五樹を好きな理由って一々闇があるので、彼も大概苦労人だと思います。

 実の妹である樹里に抱いていた気持ちは複雑すぎて図り切れませんが、愛していたのは本当だと思います。心中シーンは切なくて好きです。

 

蔵女

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ヒロインなのかどうなのかって思ってたらちゃんとヒロインだった人

 蔵女狂言回し的な立ち位置のキャラクターなのかと思っていたので終盤の展開は結構予想外でした。伝記ホラー的な話だと思ってたらSFかよ! って。妹モードの時はあれ演技してるのかなあとか考えると可愛く感じます。人外の存在が心を得てしまった存在としては自身の業について苦悩しておりなんだかんだ根は良い子なんだろうなと思います。

 ラストの方はプレイ時若干話についていけていないところがあってキャラ変わりすぎちゃう? とか思ってましたが可愛いのでよし。五樹ととうかんもりを巡る場面も切なくて大好きです。その後致すわけですがね。

 ちなみに、えっちCGは"食われしもの"と"幼華、狂い咲く・壱"が好き。

 

簸川夏生

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五樹の従姉、幼馴染枠

 五樹の記憶を辿っていく中で最初の大きな爆弾を落としたキャラクターだと思います。青春の1コマみたいな感じで片づけるのには流石にちょっとなあって思うレベルでした。五樹の記憶を取り戻すのにやたら執着しているのも、過去に自分のしたことを思い出して貰って謝りたいからと、なかなかに独善的だなと思いました。"あね・おとうと"のシーンとか見てるとどうしてこうなったって感じです。

 散り際は五樹に許して貰えて満足気だったのが救いですね。

 

簸川芳野

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カーチャン(義理)

 あれな感じのこのゲームにおいて最後の良心的なキャラクターだと思いきや……でした。五樹に対する想いはまあ息子だけど義理だしと言えるのですが、やっぱり想いを募らせていた父親と重ねてのことというのが根底にあるのが業の深さを感じさせました。五樹幼稚園時代の回想とかもいい話なんですけど、「こんな頃から親代わりしてたのにあんた……」ってなりました。

 キャラクター掘り下げの番が回ってきてカーチャンの株は僕の中で暴落しました。インモラルADV的にはある意味正しいんですけどね。

 

 簸川潤

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義理の妹、あたりがきつい

 何かにつけてろくでもないエピソードの多い登場人物たちの中で相対的にまともと言えるキャラクターだと思います。序盤こそ五樹に対する態度のきつさや、樹里と瓜二つの蔵女を毛嫌いする際の行き過ぎた発言などであまり印象が良くなかったのですが、事の真相が明らかになるにつれてこの子は良い子なんだなと感じるようになりました。

 五樹とは義理の妹であると同時に幼馴染でもあり、ヘッドホンのエピソードとか本当このゲームらしくない綺麗な過去話だと思いました。"潤を妹として受け入れるEND"は悲しいですね。結局あの五樹とは既に住む世界が違ってしまっていることを見せられているようで。

 

伊勢きりこ

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くそでか丸眼鏡、五樹の恋人

 序盤最もキナ臭かったけど、終わってみると他の面子に比べるとまあって感じになりました。この人だけ赤い雪になる時場面がちょっと悲惨な感じだったり、一度赤い雪になった後はほとんど出番がなかったり不遇な人だと思います。

 彼女は実は登場人物の中で唯一未来を見ている(見ようとしている?)貴重なキャラクターかもしれないです。ただ、五樹の告白に関連する過去に囚われているのは彼女も同じで、彼女が未来を見ようとしているのは過去に囚われていることの表れであるのかもしれません。

 えっちシーンの尺が長く、喘ぎ声が激しすぎる

 

山鹿青磁

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五樹の幼馴染、歯科技工士

 具体的な衝撃エピソードとかがあったわけではないので他と比べるとやや印象が薄いです。とりあえず彼も過去に囚われた一人だったんだろうなあと。五樹に対しては友人以上の感情を少なからず持っていたのかどうなのでしょうかね。

 

簸川樹里

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五樹の実妹、既に故人

 ろくでもない人だらけの登場人物の中で頂点に立つであろう人物。この物語の原因の半分はこの子が原因だと言っても過言ではないです。(残り半分は蔵女を造った異星人)本編中では既に故人ですが、記憶のフラッシュバックにより徐々に明らかになっていく彼女の全容により存在感はとても大きかったです。

 樹里は凄いポジティヴなキチガイみたいなキャラクターだと思うんですよね、倫理観とか行動とかかなりイっちゃってるところあるんですけど五樹のことは心から信頼している。怖いんだけど惹かれる、そんなキャラクターです。

 繰り返す環の中で最後には五樹が"赤い婚礼"にたどり着くのだと思うと生前の五樹はやはり樹里のものであり、本作における裏ヒロインのような存在であると思います。

 

 

エンディングについて

 プレイ時に見た順に書きます。

 

落果

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  2人だけの世界的なエンドかなあと思います。究極的にはこのゲーム自体ずっと2人だけの世界みたいなものがテーマの内にあるように思いますが。ただ、やはり物悲しいですね。彼らはいつか終わりが訪れるその時まで星々を彷徨い続けるのでしょうか。2人一緒であることで良い変化があることを願うばかりです。

 このまま月で2人で暮らせばいいじゃんとか思いましたが、そうもいかないのでしょうね。蔵女を造った異星人にとって彼女のもたらす死は救いであったようですが、2人は他の星々に何をもたらすのでしょう。

 

腐爛

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 物語的には一番綺麗な終わり方に感じました。死による救済というものを度々感じさせる物語でしたが、永劫の時の中で呪われたような生を送り続けていた2人にとってこの終わりはまさしく救いであったのだろうと思います。あと、2人が消えていく場面のCGが凄く良いです。

 2人が消えてしまった後、景色が明るくなるところは綺麗な余韻を残すとともにどうあっても彼らは世界からは望まれない存在であったのだろうかと思わされて物悲しくもなりました。このエンドは"落果"と対になっていて、結局どちらかなんですよね、五樹と蔵女の2人が消えるか、2人以外が消えるか。

 

リフレーン

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 攻略サイト等では便宜上(?)trueエンドと書かれていたりしますが、真の終わりというよりは始まりだと思います。上2つのエンドを見てから、記憶を消して再度プレイし出現させた第三の選択肢を経てここにたどり着いたので、新たな道を探そうという感じなのかなと思っていたのでそういう意味では意表を突かれました。

 僕の感想としては、細かな差異はあれど最終的にはここからまた五樹と樹里の誕生、そして"赤い婚礼"を経て繰り返すのだと思っています。この"リフレーン"があってこそ腐り姫のどこまでも閉鎖的で閉じた物語が完成するのではないかと思います。"リフレーン"はもはやどこに存在するのかも分からない物語の始まりで、終わりとなるのが"落果"と"腐爛"であるのだと解釈しました。

 

 

まとめ

 終わってみれば感動的で良い話でした。ストレートに感動的な話かと言われると少し首を傾げてしまいますが、退廃的な雰囲気の話とかちょっとドロドロした感じのが好きな人にはお薦めできる作品だと思います。蔵女の正体については少し突飛な感じもしますが、個人的にはああいうの好きなのでありです。それに、あのように一見スケールの大きな話になっていったように見えて結局は、全てが簸川家親子2代に帰結していくというところが面白いところなのではないかと思います。

 サブタイトルの"euthanasia"の意味は安楽死だそうで、人生について考えすぎてしまうとなんでつらい思いをしてまで生きなければならないのだろう? 死んでしまった方が楽なのではないかとか思ってしまったりするものです。蔵女を造った異星人はきっとそういう考えが極まってしまったのでしょうかね。本作には死して望みを得るシーンが多く存在し、そのどれもが妖しい魅力や切なさ、儚さを持っていたと思います。

 

 

おまけ

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 盲点はクリア後にまとめて見ました。完全におふざけなんですけど、本編中の出来事を噛み砕いて説明(?)してくれているようなところもあって、案外最初からありでプレイしても面白かったかなあと思いました。こういうの好きなんでちょくちょくやってほしいです。

 

 

 

おわり

 

 

 


Liar-soft(ライアーソフト) ライアーサウンドトラックVOL.2「わらび」